韓国本土最高峰
(2004年5月21〜24日)
 韓国本土・朝鮮半島の南西部に位置する智異山山群。韓国の民の信仰の山でもあり今でも絶大な人気を誇る。
その山並みはとてつもなく深く、増殖林など殆ど見られない原生林で形成された太古の森が広がっている。その連綿
と連なる山々は 1500mを越える主峰を10峰連ね豊かな生態系を育んでいた。因みに韓国全体での最高峰は
済州島の ハンラ山(1950m)であり、智異山(1915m)は本土での最高峰である。

 博多港から出港するフェリー”かめりあ”に乗って、チング(親友)のパク・チャルオップの待つ釜山港へ船の旅で始まる。
パクさんが用意してくれている車に乗って、釜山から一時間半ほどの町”晋州”へ向かい、そこでチャルオップの友であり、
今回の山行のリーダーである朴隊長(パク・テジャン)、それと黄(フォン)さんと合流する。中々温厚そうな隊長じゃないか・
とその時は思ったが、とてつもない体力の持ち主である事が数時間後に思い知らされる。さて、日韓合同パーティーでの

山行だ・・・どんな珍道中になることやら

■朴隊長(以下パクテジャン)の自宅で出発の準備。
日本から来たゲスト(私)を色々誉めたり、おだてたりして、
上手い事玉ねぎ5個と林檎6個持たされた♪重いんだよね・・ 
この系統ってさ。。まぁいいけど・・・ここからはタクシーで登山口へ
向かった。車への帰着はしないで端から端まで智異山を大縦走
させてくれる計画のようだ。

■智異山のメインの登山口は中山里(チュンサンリ)であるが、
智異山を知り尽くすパクテジャンはとっておきのルートから登らせて
くれると言う。そこは智異連山の一番端から登り出すロングコース
で、しかも登山客がきわめて少ないと言う。 その取っておきの
ルートがここ”セジェ”の集落である。登山道近くで、地元の料理店
に入りまずは腹ごしらえ!チングのチャルオップが「メギで良いか?」
と私に聞くので、「ゲンチャナヨ!(大丈夫)」と答える。メギ料理とは
ナマズの辛みそ鍋料理であり、滋養強壮・体力モリモリ料理として
地元では有名だ。 C1焼酎とメギ料理で精をつけたら、さぁ出発。
写真の奥から、フォンさん、パクテジャン・私、である。

■これがその通のみぞ知る”セジェ”からの取り付きルートだ。
確かに取っておきのルートと言うだけあって、人もいないし、森も
豊かだ! しかし、なぜ人が少ないか・・・この後すぐにわけが
わかった・・・

■登山道取り付き点に看板がある。これ・・・・ 立入禁止。。。って事じゃないの・? とパクテジャンに聞く。
パクテジャンも チャルオップもその瞬間、日本語が理解できないような顔をした。確かに登山者は少ないよね。

■しかし、このフォンさんも、パクテジャンも恐ろしくペースが速い。フォンさんはデイバックでほぼ空荷に近いが、
パクテジャンは結構担いでいる。平らな所は、ほぼ小走りに近く、登りでもペースが落ちない。チングのチャルオップ
は山の初心者であるので、30分もしない内にもうバテてきている。 最後尾を歩く私にとては、それが助かった。
■沢に出て小休止。チャルオップはバテバテだ。 ここで珍しいものを発見! ↑この写真はオオヤマレンゲの大木だ。
5月中旬でもう咲いている。花の形や葉の形から、オオバオオヤマレンゲであると思われる。パクテジャンに聞いて
見ると、この辺りでは何処にでも咲いているいたって一般的な花らしい・・・

■オオバオオヤマレンゲの可憐な花。

■超ハイペースに翻弄され、うなだれる
チング(親友)のパク・チャルオップ♪

■更に登りが続く。チャルオップ踏ん張る。

■カタクリの花もアチコチで咲き乱れている!これも地元では
珍しくはないらしい。ここ智異山のカタクリは、日本の種に比べて
花も葉も 少し肉厚で、少し大きめのような印象を受けた。

■これは珍しい日本でも見たことの無いカモメ蘭。
カモメとは海に漂う鴎では無く、鴨の目・・が由来の様だ。
朱斑が射した花の様子が鴨目ににている事から名付け
られた。

■クルマバツクバネソウ。軸の部分が少し短いような
感じだった。

■これはユキザサかな・・・。

■メイン縦走路分岐。セジェの集落から5km登ってきた。

■稜線まであと一登り! 登山道にはナラの木が多い。

■稜線上の広場に出た。正面の山は智異山連山の東の端、中峰(チュンボン)の山頂だ。この広場で一泊しようと言うチング
の意見は見事に却下され、中峰山頂まで行く事になった。

■中峰から北側に派生する尾根だが、実に深い原生林い覆われている。 伐採の跡形も見えない自然のままの山肌は、
味わい深く、来る者を優しく受け容れる。

■中峰山頂の少し手前で、山頂に向かいお祈り
を捧げる、パクテジャン。こちらではこれ礼儀なの
だろうか。

■さて晩飯の準備だ。キムチに青唐辛子に韓国焼酎。
プルコギ(焼肉)は豚の三枚肉から焼き始める。

■チャルオップも晩飯になると元気になった。

■上手い事担がされた、私の分担食料。皆さん玉ねぎに
リンゴ・・・沢山食べてね♪

■食料の多さには、私も舌を巻いた・・降参です。

■次々にキムチが出て来る。!      ■三枚肉の後はプルコギ牛肉だ!   

■もう食べれないと思った頃、米を
炊いて大鍋でラーメンを作っていた。

■智異山の山並みに沈む夕陽は何とも幻想的だった。
この日 中峰山頂(1875m)に野営したが、放射冷却で
19:30頃の気温は 1℃まで下がっていた。

■愛すべき私のチング(親友)パク・チャルオップさん。
今日の登山はどんな印象だったか・・・この顔つきが
雄弁に物語っている。

■チングは私に問うた・・「山登りは何が楽しいですか?」
 実に哲学的な、問いかけである。

■恐るべしはこのパク・テジャン(朴 隊長)である。なんと
テントにも入らず、フライも張らず、そのままコロンと寝る。
ご本人曰く、ゴア製のシュラフであるので、少々の雨も大丈夫
だと・・・ツタンカーメンを彷彿とさせる風景だ。

■智異山に沈む夕陽は白夜のように、長い間
辺りを黄金色に照らし続けた。智異山で迎えた
最初の夜は満天の星空と、澄み切った空気に
包まれ静かに夜の帳を降ろして行く。
想像していたよりもずっとずっと深く広大な山並み
を目の当たりにした時、この山脈の人気の一端が
少し解ったような気がした。 
パク・テジャンは登りすがら言った・・・、
「智異山は本当に奥が深い山です。登山ルート
がどれだけあるかわかりません。
この山に一年間登りつづけると、智異山を知った
ような気になります。が、2年間登り続けると智異山
がまったく解らなくなるのです。どこまで深いのか、
見当がつかなくなりました。」
そんな赴き深い智異山の話しを聞くにつけ、明日の
稜線歩きが愉しみになった。 
韓国本土最高峰
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