一ツ瀬川支谷・高塚谷(仮称)
                
                             (1999年5月29〜30日)

 椎葉・西米良を流れる清流一ツ瀬川。大河内峠の少し南にある屋敷野地区から一ツ瀬川に降りると、
対岸に綺麗な流れの谷が一本出合っている。地図にも名前の無い谷・・・源流域では北西にある高塚山
に突き上げている事からここでは勝手に「高塚谷(仮称)」と呼ばせてもらおう。小振りではあるが源流域に
何かありそうな・・地図で見ても何かを予感させる、そんな期待の谷であったが・・・そこでは思いもよらぬ
ドラマが待ち受けていた。
 

 一ツ瀬川には規模の大きな支谷が多い中、この高塚谷の規模は決して大きいとは言えない。
しかしながら源流域一帯に記載されている地図上での「岩稜マーク」(毛虫)とその上部にも続くであろう
谷の流れには何かを感じる。一ツ瀬川に降り立って本流を徒渉、対岸に差し込む谷に一歩を踏み入れる。
入渓直後に小さな取水堰堤があった。 少しずつ上流に向かうが珍しく天唐さんがザックが重そうだ・・・
この時は気にもとめなかったが・・・



    ■入渓準備に余念は無い♪
          
                                      ■水は極めて綺麗
   


   
     
                                       



■天唐さんさっそく流れに振る。


    ■ヤマメの活性は良いのか!?        







 ■徒渉を繰り返す。








  
■反応は良い元気なヤマメだ。谷の感じもスッキリし
 てて良い。所々乗り越しに苦労する小滝や大石が
 点在する。巻いたりへつったりしながら源流を目指す。


■ 渓谷に溶け込む天唐さん♪


                            
                                         
                                         ■七寸前後だ。 
                                                                                                                                                                    

  




■サイズの割に、丸い(肥えてる)ヤツが多い?
   


                      
                      ■感じの良い渓は、小滝の連続だった。
 


 ■開放的な区間や、鬱蒼とした区間もあり 
 メリハリのある楽しい渓です。この後伏流している
 区間が数箇所あったが、100m程でまた水が
 とうとうと溢れている。その上流にもヤマメは
 存在していた。










     

 
     
■規模の大きな2段滝に見えるが、この上部にも滝が連発していいた。実質上の魚止滝。
 ヤマメ達はこの滝壺にたまっていた。



        ■滝壺で戯れた後の高巻きは大変でした・・・急斜面の泥付。
       



 悲劇はこの後、起こりました。手が出ない連発滝を超える為に右岸斜面を高巻き、上へ上へと追いやられました。
谷を覗いてもまだ滝は連発、上部へ抜ける所で左に分かれる枝沢に降り立ちます。枝沢の斜滝を先に登っていた
天唐さんの様子が変です。下から覗き上げると、何かしきりに、身振り手振りでこちらに訴えかけてます。写真でも
撮って欲しいのかなぁ〜と思い、斜滝を登って天唐さんの側に寄って見ると・・
「右肩を脱臼した!」 
と苦痛で顔を歪めています。 沢で滑って右手をついた時に、肩が外れたらしいのです。
時間は16:30を過ぎて
いました。!

 現在地を地図で確認しながら、取敢えず 陸地で座って休んでもらいます。さあどうするか・!現在地をだいたい
つかんでいるつもりだが脱出する予定の「地図にある林道」が果たして今でも本当に存在していて、通行に耐えられる
のか!2万5千の地図にある林道が実際には無かったと言う例を今まで何度も経験しているので確認が必要だ。

 当然ザックも背負えないので、75Lと60Lの二つのザックを前後に背負ってこれから先に在るであろう未確認の
林道目指して出発した方がいいのか・?最悪の場合林道も無く、山の斜面に沢が消えていくだけの場合、引き返して
この沢を下降するしか策は無い・ザイルはあるがそれが今からの時間で出来るか・?短い時間であったが散々考え
た挙句、「俺が空荷で先の状況を確認して戻ってくる」 と言う事にして、ヘッドランプを飴だけ持っ出発した。20分
ほど駆け足で登った所に上部が開けた崩落斜面があった。「あの上が林道かも?」どろどろで這い上がってみると
間違いなく地図にある林道だ・しかもしっかりしている・これなら大丈夫だ。みなの元へ戻って林道を確認した旨告げて
天唐さんに聞いてみる。痛みは相当激しいようだが、疲労具合や時間的な物を考えて「一晩待って明日下山しよう」
と言う事になった。
林道が確認出来たので明日の行動は予測可能・・・少しは気が楽になったようだが、痛みに耐えれるのか・・?
スリングで即席の三角巾を作り腕を吊る。エアー枕を抱いて少しでも衝撃を緩め、鎮痛剤(ボルタレン)を2錠飲んだ。
なんとか食事は出来そうだ。

           

 追加で鎮痛剤を飲み夜中に2時間ほど眠れたようだがすぐに目が覚めたらしい。夜が明けると同時に食事をして出発。
40分程で林道に脱出しばらく歩く。 開けた所で皆に待っていてもらい、私だけ空荷で車をピックアップに走る。
途中、舗装道路に出た所でヒッチハイクして車を回送 天唐さんと、羽峡さんを乗せて 免田の救急病院に向かった!
取り合えずは事無きを得た。 ちょっと元気になった天唐さんにも食欲が出てきたので 皆でラーメンを食べて帰福。
これぐらいで済んでよかった・・・と思うべきなのか、事故は何時起こるかわかりません。細心の注意で望みましょう♪
因みに、この一件以来 我らの間ではこの谷の名前は 「脱臼谷」と呼ばれることになった。







■時 期  :  1999年5月29日〜30日
■地 図  :   日向大河内
■メンバー :   羽峡・天唐渓遊・沢グルメ




                                           





























inserted by FC2 system