(1998年9月14日〜15日)
九州を代表する「清流球磨川」の流れを二分する一大支流「川辺川」。昨今ダム建設で揺れるこの川辺川を
下流から上流へ追ってみよう。まず五木村頭地の集落から上部を「五木川」と呼び、九連子の集落で九連子川
を分ける。更にその少し北で椎原川と小原川に分岐し北上、椎原川は吐合の集落で「葉木川」と「樅木川」に名
を変え分流する。
本流の樅木川は八八重の地域で北・西・南に大きく分かれる事になり、北に向かう谷は九州脊梁の盟主、
国見岳、五勇山方面から端を発す「樅木本谷、五勇谷」となり、向霧立山地の稜線に吸い込まれる。一方、
南へ延びる谷は、西の内岩川からコウラ谷、一部伏流区間を越えてヨコサイ谷、イワオノ谷と呼ばれ県分山地
に消えていく。更に、源頭域で真南へ向かう谷をアンドウゴヤ谷、ナカダシゴヤノ谷と呼び、水上越、七辺巡りの
稜線へ吸い込まれる。実はこの水上越の稜線(分水嶺)の正反対側の斜面には「球磨川源流」の最初の一滴が
湧き出している。言うなればこの県分山地の稜線である、横才越、水上越、七辺巡り一帯の分水嶺こそが、
球磨川と川辺川両方の産みの親とも言えるわけだ。
話を戻して八八重の集落から真西に延びる谷がここで取り上げる有名な「にがこべ谷」である。にがこべ谷は、
一昔前の主要峠「坊さん越」(現椎葉越)から上部をウエノウチ谷を名を変え白鳥山へと突き上げている。豊かな
原生林・目を見張るようなブナの林から溢れ出る一滴を愉しもう。
この日、最初は四方田の集落付近から樅木本谷へと入渓していたが、大堰堤上部・五勇谷手前から先行者が
居た為に脱出渋々ニガコベ谷へと入った。しかしながらこの沢沿いの綺麗な原生林と、清冽な水の流れには驚いた。
林道が上部を横切っているのにこの清らかな流れを保てるのは、やはりこの辺り一帯特有の伏流水の恩恵だろうか。
昨今、台風などの被害により林道が寸断され脊梁山地へのアプローチが困難になる事しばしばあるが、白鳥山方面
への進入には困った時の代替道としても利用できそうである。
■樅木本谷の形相。広く開放的な渓で、
源流域の支谷の多さは特筆物だ。
■にがこべ谷出合い。谷の水は極めて冷たく綺麗だ。
■樅木本流育ちの弾丸ヤマメだった。
婚姻色が出ているのだろうか、朱が強い。
■にがこべ谷下部の渓相。
■10m程の斜滝を直登する天唐さん。大きなザックで
登り難そう・・・ノーピンだ。
■このヤマメも赤みが強い。婚姻色なんだろう。
■相変わらずのテンバ
〜〜少々水気のあるテンバだったが、ブルーシートを敷いてなんとかサマになった。夜も小雨が降っていた
がシュラフが濡れてしまう程でもなく、ぐっすり寝ました 〜〜〜
■二日目〜小雨曇り■
■ニガコベ谷源流部は綺麗な原生林に覆われていた。
■九州原種山女マダラ(?)と信じたいが・・・
■なんとも色鮮やかな鱒茸
■途中伏流していて、所々に出てくるこんな溜まり
にもヤマメが元気に泳いでいた。
■源流の色濃くなってきて、ここらで終了。
●ここで終了、徒歩1時間半ほどで入渓点へ帰着。
■旧「坊さん峠」 現在では椎葉越し。その昔五家荘には神社が無くお坊様が居なかった為、
仏事法事の際は一山越えた椎葉の日添地区にあるお寺から峠を越えて通っていたと言う。
尚、本来の「ぼんさん越」はもう少し北側にあるが、現在は道も定かではない。
この道の帰りしな、「イヌワシ」らしき猛禽類が谷筋を舞い降りていった。
■ 時 期 : 1998年9月14〜15日
■ 地 図 : 椎 原
■ メンバー : 羽峡・天唐・沢グルメ
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