(2000年4月29日〜5月1日)
蛇籠川(じゃろがわ)の源流部は河口川とその名を変え、掃部岳北斜面の裾野をぐるりと取巻くように
ゆったりと長々と流れている。その有様は川名の通り 『蛇行』しており、最源流部に横野林道の終点がある
以外(途中一箇所林道と接近)は殆ど道らしき道と接していない。 九州島内の渓はその急峻な地形故、
滝の連発する谷が多く遡行の困難を極めているが、その勾配に比例して源流部の長さは比較的短い。
九州にもし秘境と呼ぶに相応しい風格を持った河川を挙げるとしたら、五指には必ず加えなければならない
川だと思う。南九州の麗らかな季候に育まれ、黒々と覆い茂った照葉樹林の森は、碧く澄んだ蛇籠川の
流れをその懐深くに吸い込み、やがて一体となった。
★{一日目}★
九州南部を横断する国道219号線は 人吉から村所の間を通称「横谷越え」と呼び村所から先,西都に
向う迄の間を「米良街道」と言う。西米良村の要所「村所」から少し西都よりの横野集落より林道に侵入、
南南東に進路を取る。挟山稲荷神社あたりからは本格的なダートとなるが、意外に道はしっかりしてる。
ダートを1時間も走っただろうかこの林道の終点、今回の旅の出発点に到着だ。
蛇籠川は中流域には3つの有力支流があるが、さてその具合はどうだろうか?その流れを確かめる事も
今回の目的の一つでもある。これから先2泊3日の行程を予定し食料装備の準備に取り掛かる。掃部岳の
真北斜面に注ぐ第2支流の辺りが今日のテンバ候補地である。川の左右に微妙に付けられている踏み跡を
辿りつつ、なるべく渓流を荒らさないようにひたすら下流を目指す。初日はもっぱら歩く事に専念しよう、
遡り返しは明日以降だ。
■2日分の食料・燃料等の準備に余念が無い。 ■源流地点から下流も目指し、そま道を辿る。
■杣道は以外にしっかりしている。 ■眼下に蛇籠川が見えてきた。
■伐採地の山腹に付けられた作業道だろうか、
歩きやすい区間だった。
■中流域に廃虚後。この辺りは昔の河の口集落跡のよう ■仮称第三支谷出合い。奥は深そうだ。
だった。しかし、なぜこのような山奥に居を構えたか。
■川に下りて一休み。 ■休憩中、近くで振ってみたらすぐ飛び出てきた。
■仮称第二支谷合流点・・今日の目的地。 ■支谷で竿を振る天唐さん。『岩化け』の技?
■この辺りの渓は開放的でフライマンが多いのも頷ける。
■綺麗なヤマメ。パーマークの形は背後の砂利玉
のそれと同じように見える。 保護色、擬態。
■第二支谷合流地点は最高のテン場だったが・・
沢スパッツを脱いでいた天唐さんのファスナー
に何か引っかかって下がらない・・よく見ると
山ヒルだ!!
私の足元にも2匹たかっている。もう山ヒルの
勢力圏に進入してしまったようだ。
■焚き火で濡れた服を乾かして、スッキリ!
焚き火があればヒルも来まい・・・
〜〜※4月末のこの日、フライシートと夏用の薄手シュラフで眠りについたが少々寒かったです・・〜〜
★{二日目}★ 夜半から雨になりました
■勾配が緩いだけに瀞が多い。これも蛇籠川の特徴。 ■大岩を刳り貫いて流れる小滝。珍しい光景だ。
■静かな佇まいである。羽峡さん。
■ 蛇籠川を象徴するような景色・・・川の流れは緑に吸い込まれる。
■ 八寸前後のヤマメが多いか。 ■雨脚は強くなってきた。歩を進める。
■昼飯時、天唐さんの手首でたっぷりと血を吸った ■ヤマメは濃い。が撤収が先決!ヒルにたから
ヒル!全員の足元、手首に無数のヒルがたかってきた! れる前に脱出。
「雨を得たヒル」・とはこの事だ。雨も強くなってきたし
撤収!!
■護衛兵(ヒル)に守られたヤマメ達だ。 ■源流部は近い。
※蛇籠川の魅力は、照葉樹林帯と慈雨だった。雨に濡れた蛇籠川にこそ、その味わい深さに磨きがかかる。
しかしながら、「雨後の竹の子」 の如く涌いて出てくる山ヒル達には些か閉口した。
が、また訪れてみたい渓には違いない。
■期 間 : 2000年4月29日〜30日
■地 図 : 掃部岳・村所
■メンバー: 羽峡、天唐渓遊、沢グルメ
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