五竜岳東面 GU稜・右稜ルンゼ(仮称) (2008年5月3〜5日)

 

   ■2008年GW〜 4月後半のお休みが跳び跳びで中々まとまった連休とはいかず、実質は5月3日からの連休になってしまいそうな今年のGWですが・
    まぁ、これも熱血企業戦士としての宿命、あるがままを受け入れましょう♪ 
    さて、そんな具合で中々日程と目的地も定まらなかった今年の残雪春山合宿でしたが、日程的にも限りがあり為 コンパクトに登高できるポイント・・
    後立山の山並みの東面が面白そう〜◎ 白馬も不帰も鹿島槍ヶ岳も良いが・・・ 五竜岳東面も面白そうだ。日程的にもBC方式を取るにも都合の良い
    五竜岳東面稜に決定! 今回のキャストは、天唐渓遊、 チャー、 ミッチー、 綾吉、に私。 五竜の東面バリで名残雪を味わいましょう。

    ●五竜岳東面にはG0〜GZまでの急峻な岩稜が並んでいる。リッジに付く雪の量や雪質で、行程も大きく変わりそう。 やはり現地で最終取り付き点
    を決めた方が良さそうだ。 一応G0− GU稜を目的地とし後は現地での目視で決定する事にした。 この日の五竜岳界隈は記録的な高温で、4日の
    伊那市では30℃を超えた真夏日・・・春山の陽射しがジリジリ熱い。 五竜東面を目前に見るとG0稜には雪は付いて居ない為、左側の雪面を登高する
    のが楽しいだろう。 日中の高温で鹿島槍ヶ岳北壁でジェット機のような轟音と共に雪崩頻発! 五竜東面でも小規模な雪崩に、落石交じりの雪崩が
    おきている。落石に雪崩は恐ろしい。GUに目をやると中央稜に左稜には踏み後が見えるが、今日か昨日のものだろう。そんな中 右稜の中央に何やら
    ルンゼが見える。規模的にもそこそこで、末端の岩稜で遮られているルンゼは中々面白そう、登高意欲を沸かせる!上部はあの 『御菱・ 武田菱』の
    中央から左に回りこんでるようだ。 ただピーク付近への抜け口がどうなっているのかが目視できないが・・・壁に当たる事も想定に入れて装備も整え、
    今回の取り付き点はこの 『GU尾根・右稜中央ルンゼ(仮称)』 とした。



  ●3日深夜に白馬五竜スキー場駐車場に到着。12時間の長旅お疲れ様でした。翌朝は05:30起床、始発のテレキャビンは08:30発。ゆとりのある朝だ、
    北アルプス山麓の花散策と洒落込もうじゃないか。 ちょっと歩いた駐車場の脇にもカタクリ、ニリンソウ、イチゲの花が咲き乱れていた!




 ■アルプス平までテレキャビンで一気に運んでもらい、スキー場を横切りながら遠見尾根を目指す。チャーさん率いる一陣、快晴無風の爽快の行軍!日本晴れだ◎
   



■地蔵の頭を越えて小遠見山への登り、久々の重荷で、しかも暑い日のボッカは肩に荷物が食い込みますね〜・・^^; ひと汗流して小遠見山山頂到着!
この山頂はミッチーと綾吉のヤングチームのみ登頂、おじちゃん連中はトラバース道で山頂割愛♪
■小休止ではボトルに雪を詰め込み水を作る天唐さんと綾吉さん♪
   



■五竜岳が一望できる尾根に入って快適な雪上歩行。綾吉さんの荷物は共同装備の割りに重いけど・・^^; ひょっとしてプシュ!?  雪疵の張り出す登山道。
   


   ■青空と五竜と残雪・・・♪ 素晴らしい◎
   




  ■≒4時間ちょいの行軍で西遠見山手前のテンバに到着!早速テント設営。      ■まだまだ余裕の皆さんですね◎
         

■後立山随一の壁、 鹿島槍ヶ岳北壁! 実に圧倒的だ!

 ■始発のテレキャビンで歩き出すこと 4時間ちょいちょい・・・
 ゆっくり歩きましたがテンバまでは思いのほか近く感じました。
 これならこの日に一本行けたかな〜?!
 しかしながら、九州人としてはこんなアルプスの大絶景を目の前に
 眺めながら、ゆったりとした時間を過す機会など 殆ど無いに等しい。
 ここはテント張って、明日の取り付き念入りに偵察したら、思いっきり
 大パノラマを楽しみながら午後のひと時を過しましょう♪ 
 本当に最高の展望とお天気です◎◎

 テント設営完了、明日の偵察も上々、取り付きは中央ルンゼに決定した。
 さて、その後は雪の中でキンキンに冷えたビールとワインで乾杯☆
 少ない量だが絶景を肴に大満足!ゆったりとした時間が流れる・・♪

 そうしている間にも頻繁に雪崩の轟音が響く。鹿島槍北壁でも2度程
 大きな雪崩、五竜東面もA沢、B沢でガレ石と共に雪崩が起こっている。
 気温が高すぎるのだ。
  


●そう言えば、このGWには我らの仲間が全国各地に出かけてる。この後立山連峰にも 唐松岳から五竜に向けて縦走している山旅人さんチームが居るはずだ!
 今ごろどこらへんかなぁ〜・・唐松岳のテッペンに着いてる頃だろうか? そのほかにも YUMさん率いるイチゴさん達が槍ヶ岳にアタックしているが、アチラも
 お天気良いでしょうねー! タカさんは 四国の西明石山に向かってるし、マッキーさんは九州最大で最難の山岳ロング縦走コース・・祖母〜傾山〜大崩山を
 縦走しているはずだ。 何と初日にちょっとしたアクシデントでわき腹を痛めたようだが、大丈夫だろうか・・。 大事に至らなければ良いが。

 ■※後日、 何と痛みに堪えて、翌日の悪天にも耐え忍んで、予定通りの祖母山から大崩山の縦走を続けておられた事を知って、鳥肌が立った・・!
 何と言う精神力だろう。 それも痛みに耐えながらの4泊5日の行程を 単独で成し遂げたのだ!誰の助けも得ずに。 僕は九州の岳人として、
 誇らしく、他の人々に自慢したい心境になった。 マッキーさんお疲れ様でした! 九州山屋の精神力、しかと魅せてもらいました。



         ■後立山連峰をバックに 『俺最高』 な皆さん。 五竜から唐松も見渡せるし、鹿島槍の雄姿も一望できる絶好のテンバだった。

  ●みっちぃ@うずらさん              ●天唐渓遊さん               ●チャーさん                  ●綾吉っちゃん



    ■昼過ぎの到着して実にゆったりとした時を愉しんで、食事も終わり後は寝るだけ♪ そろそろ寝ましょうか・・・って今まだ 17:30・^^;
      まだ明るいですが、明日の行程を考えると 早寝に越した事は無い! 明日の天気予報は曇りのち雨、 不確定要素のある行程の為、
      02:30起床、04:00頃には行動開始としたい。 さて、明日朝のお天気はどうなりますか。18:00過ぎに就寝。皆様お休みなさい・・☆



    

 ■翌朝、5月5日朝03:00 テントの外は真っ白のガスがかかっていた。五竜東面は
  おろか、隣のテントも見えない始末!こりゃ目視頼りの登高には厳しいか。

  夜中にも数回 鹿島槍方面で雪崩の音が木霊した。放射冷却が期待できない今朝
  なだけに不気味な低音だった。

  簡単な朝食を手早く摂ってしばらく様子を見る・・・うっすら明るくなってきた04:15頃
  、少しガスも切れて・・・じわじわと 五竜岳東面が姿を現し始めた。これなら行ける!

     


     ■ガスに浮かぶ五竜岳東面稜 ・・・ さぁ、行こうか。
     




■西遠見山鞍部から、シラタケ沢方面に急降下する。                  ■土砂と落石のデブる シラタケ沢最低部・・・ここから登り返し。
   



   ■シラタケ沢から G0稜下部に取り付き、いきなりの急斜面に汗を流す。気温はそれほど低くないが、まぁそこそこの雪質と言った所か。ステップはきれる。
   




    ■G0稜下部をトラバース、A沢寄りの雪面を登る。 これより上部にはあるラントクルフトを巧く処理しながらの登高。
    




    ■G0稜下部もかなりの傾斜だ。 朝一番から気の入る登り。  雪質の悪い箇所を避ける過程では、草付き岩稜帯を登る。ピックを効かせた登高だ。
  



■A沢寄りの方へ近づきながら高度を稼ぐ。                          ■A沢から GU稜に取り付く地点へトラバース。
  



       ■急勾配な A沢・・・ ここをトラバースしてGU稜へ。  比較的渡りやすい箇所から 50mザイルを引いてトラバース、目の前の岩稜に取り付き。
  



 ■GU稜取り付きの岩稜にフィックスロープを張って全員渡る。 この後少し経ってA沢で 落石交じりの小雪崩が襲った!・・ビレイ地点をかすめる。危ない危ない。
  

   ■綾吉さんも無事にトラバース〜取り付き点へ。
  




 ■GU稜下部の岩稜地帯、ボロボロの岩場はホールドも浮石だらけ。 落石予想ライン上に人間が居る間は ピクリとも動けない。 滑落ラインをかわした所で 
   30mザイルいっぱい伸ばしてタケカンバでピッチを切る。 このブッシュ交じりの岩稜登攀が気を使うポイントだったが、さらに左側のA沢寄りの岩稜帯の方が
   傾斜も緩み、ブッシュもあったので一見取り付きやすそうに見えたが、そこまでの雪面に走るラントクルフトが悪かった。 後で考えればラントクルフトを処理
   している間に落石混じりの小雪崩が側を通過した事になるわけで・・・  まぁ結果オーライと考えよう。

  
●綾吉さん渾身のクライミング・・・浮石を落さないように神経を使った登攀が要求された。  全員を見送った後、チャーさんが登る・・・悪い岩やったね〜。




       ■岩稜帯を越えてルンゼに入り雪面を登るチャーさん。 これから先はルンゼ登高になる予定だ。 トラバース地点も出てくる為、コンテで進む。
  

  ■左に曲がって、さらに雪面は続く。
  

     ■ルンゼ上部は雪質も中々締まってて良い。 しっかりピッケル打ち込んで登りましょう〜 かなり高度を稼いだ。
     

                   ■ルンゼの最後はかなりの急傾斜! 前を行く綾吉のアイゼンの底が綺麗に見える位だ。 落ちて来ないでね・・^^;
                   



     ■ルンゼを登り詰めたコルに出る。ここで GU中央稜(左稜)コースと合流、ちょっと一本入れましょうか。ここに来て鹿島槍の双耳峰が見れた。
       



   ■ガレた岩稜地帯を回り込んで、最後の雪壁が出てくる。 余裕で手を振るみっちぃ@ウズラ、これを登るとGUピークだ☆
   



                      ■GUピークへ最後の登り、ダブルアックスで登高するチャーちゃん◎ 皆さんあと一息!
                      



  ■無事にGUピークに到着! 皆様お疲れ様でした。気温が高くヒヤヒヤしましたが、楽しい雪壁登高だったですね♪ お天気も何とか持ってくれました◎
      
  ● ここのピークで一般登山道と合流、 これから五竜岳山頂を目指してGO− GO−☆★




        ■五竜岳山頂に向かう山頂直下の登り。 正面がピークです。 チラッと青空も見えてきました☆ 剱岳方面も展望できる。
   


   ■五竜岳山頂 (2814m)
   

 ■心配されたお天気でしたが、途中でパラリと降ったくらいで大きな崩れは無く、終始登高に集中できました。 山頂付近ではちょっとした晴れ間に恵まれ、
   雪崩にも遭わず、落石にも当たらず、ここまで来れたのには、『日頃の行いの良さ』 と言う歴然たる理由があったからですね! さて、山頂でゆっくりしたい
   所ですが、長居は無用、 これから下山して長い長い 福岡までの道のりが待ってますよー!
                    



          ■五竜山荘からのトラバース道をぐんぐん下がって、テンバまで一気に到着。 小雨の降り出す中、速攻でテント撤収して麓まで下山!
       


 ■いやはや今回も、限られた日程の中で実にコンパクトに充実した北アルプス山行でした。 いきなりのボッカ・アルバイトは堪えましたが、大パノラマの広がる
  絶景のテンバで過したかけがえの無い贅沢な時間、 未明から取り付いた五竜東面の集中できた登高、そして初日の抜けるような青空はラッキーでした。 
  九州でも中々見る事が出来ない春の花に巡り逢えたのもラッキーでしたね♪ 今回の山行が無事に終了できたのも、メンバー全員の総力の結果です。 
  皆さん本当に お疲れ様です。
  それでは絶景を愉しませてくれた後立山連邦の峰々よさようなら。 また来くるよ〜。         本当にまた来るよ・・マジメに♪




 ■カタクリのお花畑の中に佇む、永遠の名横綱・・じゃなくて美少女(?)          ■雷鳥に許しを乞うミッチー。 今日から晴れてみっちぃ@ライチョウを襲名だ。
       


 



<Photo Presented By Ayakichi ,Tenkara_keiyu , Micchiy & Sawa_Gourmet>







■時  期  :  2008年 5月 3日〜 5日
■地  図  :  五竜岳地形図
■メンバー  :  天唐渓遊、チャー、ミッチー、綾吉、沢グルメ

■装  備  :  8.3mm x 50mザイル=1本、 8mm x 30mザイル=1本、 スノーバーx 2本、 デッドマン x 1丁、
           ハーケン x 4〜5枚(軟鉄半分)、 








                                               







































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